「失礼しなくても結構ですわよ。未央さん」
とても澄んだ声に引きとめられた。
目が合うと、優しく微笑んだその人は今度は創吾先輩へ視線を向ける。
「紹介してはくださらないのですか?創吾さん」
その問いかけにめんどくさそうにする先輩。
「こんな形で会わせたくなかったんだけど…」
仕方がない、といった雰囲気で私を引き寄せた先輩は背筋を伸ばして真っ直ぐ女の人を見つめた。
「百瀬未央。1つ年下。俺の、恋人だ」
突然のことに固まってしまう。
何度か瞬きをしてようやく先輩の顔を見上げた。
「あの………えっと……これはどういう…」
困惑する中、女の人の表情が視界に入った。
目を見開いて驚いたような悲しんでいるような、とても複雑な表情。
「『紹介してはくださらないのですか?』とは…私のことを、紹介してはくださらないのですか?という意味だったんですけれども…」
「ああ、そういう意味」
悲しそうに笑う女の人に対し、先輩は軽い返事。



