君に染まる(後編)



「…っあ…ご、ごめんなさい!」



慌てて頭を下げ、
そのままの勢いで顔を上げた瞬間、
見慣れた顔を目の前にし
思わず固まってしまった。



創吾先輩…。



「…何やってんだよこんなとこで」



大きくため息をつきながら
そう呟いた先輩は、
あたしの腕を掴んで歩き出した。



「あ、え…どこ行くんですか?」



「決まってんだろ。家に帰る」



家?それって…。



先輩の言葉に嫌な予感がよぎり、
思わず立ち止まった。



「うぉ!?…なんだよ、急に。
車待たせてんだから早く行くぞ」



立ち止まったことに驚きながらも
歩くのをやめようとはしない先輩。



それでも足を踏ん張るあたしに
顔をしかめて振り返った。



「おい」



「行けません…」



「は?」



「今日はレッスンなので行けません…」



「おまっ…だから…
いつもみたいに時間ずらして…」