「百瀬と別れろ」
突然のその言葉に周りの奴らがギョッと目を丸くさせる。
「みんなも見たろ、百瀬の腕。あんなにくっきり手の形が残るほど強く掴むなんて普通じゃない。普段から百瀬に暴力振るってんじゃねぇだろうな」
「そんなことしない」
「どうだかな…それに、いくら彼氏だからってたかが同窓会に乗り込んでくるなんて頭おかしいだろ。余裕なさすぎ。束縛強すぎなんじゃね?」
束縛。
その言葉が、思いのほか響いた。
「ちょっと…何揉めてんの?」
電話を終えて戻ってきた楓が顔をしかめる。
「なあ、岬。なんで百瀬はこんな奴と付き合ってんだよ。なんか弱みでも握られてんの?」
「は?何言ってんの」
「だっておかしいだろ。金持ちのお坊ちゃんと一般庶民の百瀬が、なんて」
「そんなの本人たちの勝手でしょ。獅堂先輩、高杉のことは相手にしなくていいんでもう行ってくだ―――」
「釣り合ってねぇんだよ!」
高杉の声が響く。
何事かと振り返っていた通行人が思わず足を止めるほどに。



