そんな中俺を見つけると、なんの反応も示さないままじっと見つめてくる。
「未央。俺だ、分かるか?」
問いかけにコクリとうなずく。
「帰るぞ。……おいで」
手を広げると少し不思議そうにしたもののなんのためらいもなく腕の中にきてくれた。
正直拒否されると思っていた俺は内心ホッとしながら未央を抱きかかえる。
「楓。さっきの電話、未央のアニキか?」
「え?はい、そうですけど」
「悪いけど、アニキに連絡しといてくれないか。
責任もって未央のこと介抱するから今夜は一緒にいさせて欲しいって。
後で俺からも連絡するから」
「…分かりました」
一瞬意味深な笑みを浮かべた楓は携帯片手にその場から離れた。
未央の腕を自分の肩に回ししっかりと抱え直す。
こてんと肩にもたれかかった未央は酒のせいか眠ってしまったみたいだ。
「あ…あの…」
ふいに誰かに声をかけられ振り向くと、未央の友達の1人が俺を見上げていた。
「これ…未央ちゃんの荷物です」
「ああ…悪い、肩にかけてくれるか?上着は未央の上に…ありがとう」
俺の指示通り、バッグは肩にかけ上着は抱える未央の上にのせるとお辞儀をして集団の中に戻っていった。
さっきまでの警戒が嘘のように関心の眼差しで俺を見つめる未央の友達たち。
ただ1人、高杉だけは「まだ話は終わってない」とでも言うように1歩前に歩み出た。



