店から出てくる客をいちいち確認するのに疲れてきた頃、店の扉が開いたと同時に聞き覚えのある声が大きく響いた。
「だーかーらー!あたしが飲ませたわけじゃないって言ってるでしょ!」
携帯片手に眉間にしわをよせる楓がいた。
「いい加減にして!わざわざ連絡してあげてるのになんでそんな怒鳴られなくちゃいけないわけ!?」
周りの目も気にせず怒鳴り散らす楓の後ろからは続々と客が出てくる。
さっき見かけた奴らもいる。
内心心臓をバクバクさせつつ未央の姿を探す。
いっそ楓に聞いた方が早いかもしれないと立ち上がった時だった。
「周りの子は関係ないの!未央が勝手にやったことなんだから」
「未央」という言葉に反応し慌てて楓に駆け寄る。
「楓、未央に何かあったのか?」
「は!?」
ものすごい形相で振り返った楓は俺だと分かった瞬間携帯のマイク口に手をあてなぜか小声で叫ぶ。
「獅、堂先輩っ…まだいたんですか!?もうとっくに帰ったんだと」
「そんなことより、未央がどうしたって?」
「え?あ?あ、いや…」
目を泳がせる楓にこれ以上かまってられないと店の中に入ろうとしたその時だった。



