「…今日はバレンタインだろ。そんな日に誘われたら普通そう思う」
「そ…そ、そうです、よ、ね……ははっ」
「いいから早く上がれよ」
「はい…」
諦めたように靴を脱ぎ、そのまま反対側のソファーに座ろうとするものだから「あ?」と思わず不機嫌な声をあげる。
立ち止まり顔を向ける未央に無言でソファーを叩き隣に座るよう促すと困った表情を浮かべながらもおもむろに隣に座った。
「…あの…本当にチョコ食べれますか?」
「は?」
「だって、先輩甘いもの好きそうにないから…」
「だから、甘すぎないなら大丈夫だっつったっろ。あんな茶番で聞き出したくせに今さらなんだよ」
「ちゃっ…もしかして気付いてたんですか?」
「普通気付く」
「で、ですよね…」
苦笑いを浮かべた未央はまたすぐ困った表情を浮かべ、小さなため息をつきながらカバンの中から何かを取り出した。
白いリボンでラッピングされた赤い正方形の箱。
それを両手で意を決したように差し出してくる。
「あ…あ、あの…お願いですから期待はしないでください…初めて作ったので自信ないですし…あと、気に入らなかったら遠慮なく捨ててもらってかまわないので…」
「何ふざけたこと言ってんだよ」
グダグダと続きそうな自虐的な発言を遮り、リボンをほどく。
恥ずかしいのか顔を手で覆った未央を横目に、少し口元をゆるめながら箱を開け―――。



