君に染まる(後編)



「おい」
「!?」



俺の声にビクッと反応した未央はゆっくりと顔をあげた。



「あ…こ、こんにちは」

「何やってんだよ。さっきからずっと突っ立ったままで」

「み、見てたん、ですか…?」

「ちょっとだけな。いいから上がれよ」



1階に下りてソファーに座った俺に対して、未央は未だに靴を履いたままその場から動こうとしない。



「あの、私…」



何を渋っているのかとじっと見つめていると、バチッと目が合った。

その瞬間、すばやく目をそらした未央は慌てた様子で口を開いた。



「やっぱり私帰ります!失礼しました!!」

「は!?」


頭を下げ踵を返した未央を引き止めようととっさに。



「チョコくれるんじゃねぇの」



扉を開きかけていた未央はその言葉に立ち止まった。


直球すぎたかと悔やむ俺に振り返った未央は困り顔。



「…え?」



まるでなんでそんなことを言うのかとでも言いたそうだ。