君に染まる(後編)



優も今日一日うんざりしながら過ごしていたんだろう。




この"部屋"を使うメンバーは何かと注目を受けることが多い。

その中で一番目立つのはもちろん俺で、そうじゃないのが優だ。


けど、モテないってわけじゃない。



俺のファンがただ騒がしいだけで、優のファンだって密かに存在している。



ただ優の場合、よく知りもしない奴に好意をよせられるということ自体が不快らしく、そんな優の性格を理解しているファンの女たちは遠くから眺めるだけ。

けど、バレンタインは特別なんだろう。



下手すれば、優は俺以上に最悪な一日だったのかもしれない。





「…今年も頼むね、チョコ」

「あ?…ああ、入り口んとこ置いときゃ畠山がどうにかしてくれんだろ…」



畠山のチョコ処理は、いつからか優のチョコも一緒に行いだした。



俺も優も直接渡されたって断固として受け取らないから、処理されるチョコは全て下駄箱や教室の机なんかに詰め込まれているものを美紅と卓が回収してきたものだ。


「自分でどうにかしろ」「回収する身にもなれ」と毎年散々言われるが、嫌々押し付けられたものをどうしろというのか。


まあ、そんなこと言えば美紅は当然、あののんきな卓でさえもブチ切れるだろうけど。