『…甘いものは平気ですか?その…例えば…ちょ、チョコ、とか…』
「あ?んでそんな-――」
「ピンポイントなんだよ」と言いかけたところで気付いた。
すぐにひらめいたのはきっと、夕方卓がその話題に触れたからだろう。
…もしかすると、未央はバレンタインに俺にチョコを渡す気なのかもしれない。
歯切れが悪かった理由も、なかなか話を切り出さなかった理由も、そう考えれば全て繋がる。
俺がチョコを好きかどうか聞き出すために普段かけてこない電話をよこし、なんとかうまく聞き出せないかと思考を巡らせ、その結果俺を家に招待するなんて嘘をついた。
歯切れの悪さからまず間違いなく嘘だろうし、よく考えればあのアニキが俺を家に招待するなんて許すわけがない。
認めてくれたとはいえ、俺と同じ空間で同じ時間を過ごすことは死ぬほど嫌なはずだ。
『…先輩?』
「ん、甘いもの、だよな?」
未央の考えは読めたとして…なんて答えればいい?
素直に苦手だと言えば未央を困らせ、最悪もらえないかもしれない。
だからといって嘘をつけば食いたくもない甘いものを食うはめになる。
…そもそも、こんな風に悩まなければいけないのは卓のせいだ。
"好きな子からもらうチョコの喜びはいくら創吾くんでも味わったことないと思うよ?"
卓があんなことを言うから…未央からチョコをもらってみたいと思ってしまう。
甘くても、未央がくれるものなら食べたいと思ってしまう。



