君に染まる(後編)



「…で、なんの用だ?」

『え?』

「だから…電話かけてきた理由。なんの用だったんだって」

『え、えっと…』




別に変なことを聞いたわけじゃない。

着信があったから折り返し、その理由を聞いただけなのに未央は更に動揺しだした。



何か話しづらいことがあるのかもしれないと待ってみたけど「えっと」「あの」「その」を繰り返すばかりで一向に話が見えない。




「…未央?」


催促するように呼びかけても話し出そうとしない。



さすがに苛立ちを覚えてきた時、ある可能性が頭をよぎった。



―――特に用事はなく、俺の声が聞きたくて電話をかけただけ。




未央からそんなことをしてくるなんてただの1度もなかったから思いもしなかったけど、俺たちは恋人なんだ。


あの恥ずかしがり屋の未央が勇気を出してくれたのかもしれない。

けど、いざかけてみると素直にそう言いだせないのかもしれない。



可愛いな…とクスッと笑い、助け船を出そうと口を開きかけた瞬間。