届かぬ声

ぼくの好きなもの。


いつも一緒のくまのぬいぐるみ“くま太郎”


おきにいりのえほん。



そして大好きなママ



ママのやわらかい手。
ママのいいにおい。
ママのわらったかお。


ぼくの大好きなママ。




でもね、ママさいきんおかしいんだ。


ぜんぜんわらってくれない。
ぼくをみてもくれない。

それにね、ぼくなにもしてないのにママはすぐにぼくのことぶつんだ。


ぼくね、ちゃんとおかたしもしたよ?
きらいなにんじんもちゃんとたべたんだ。
なのに、なんでだろう?



ぼくはいつものようにくま太郎にいったんだ。

『ママどうしたのか?ぼくはわるいこなのかな?ねぇくま太郎。どうおもう?』

ぼくはくま太郎のやわらかいうでをつかんでうごかした。
くま太郎はぼくがうごかしてやらないとうごけないからね。

「ママはきみのことが大好きだよ。ママはきっとつかれちゃってるんだ。だからいいこにしてればママはだきしてめくれるよ」


くま太郎はぼくのともだち。ぼくのことをはげましてくれるいちばんのともだちなんだ。