梓真先輩は顔を上げて、あたしの方をチラッと見てから立ち上がった
「…何?」
「えっと、屋上にケータイ落ちてて…コレ、梓真先輩のですよね?」
「…あぁ、俺のだ。ありがと」
今一瞬見れた、梓真先輩の笑顔
俯きながらケータイを渡した
すると、梓真先輩を呼んでくれた先輩が梓真先輩に言った
「梓真、…彼女?」
「へっ?」
反応したのはあたし
梓真先輩は何も言わなかった
「梓真の彼女?」
「いや、あの…違います…」
梓真先輩が答えないから、あたしに聞いてきた
小さな声で答えると、その人は驚いたような顔をした

