あたしの目の前で小さな鍵を揺らして

その先輩の表情は、今まで見たことがないくらい優しかった



「…あたしのじゃないです」

「…俺の鍵でもない」

「じゃあ、貰えないです」

「貸すんだよ」

「先輩のモノでもないでしょ?」



お互いに譲らない


あたしが、本当にそれを持ってもいいの?

…本当に、もう一度、あの場所に行ってもいいの?



「…俺は、稚早にコレを持ってて欲しいんだけど」