「…俺の兄貴の彼女」
「…え…?」
「あの女の人。しかも、もうすぐ結婚」
突然の先輩の言葉に、顔を上げた
先輩は窓の外に向いていた
「…5年前から付き合ってる。彼女、紗也さんって言うんだけど、よく兄貴のことで俺に相談してきてさ、最後には必ず泣き出すんだ。それをタイミング良く兄貴に見られて、なぜかいつも俺が怒られて、紗也さんが泣いてんのは誰のせいなんだ、っていつも心の中で文句言ってた」
呆れたように小さく苦笑いを浮かべながら、びっくりするくらいの量の言葉を話す先輩を、あたしはただ黙って見ていた
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