「…誰か、他の人にでも渡してください」

「誰かって、誰?」



知らないよ…

先輩の友だちでも、誰でもいいじゃん


…とにかく、それは



「…あたしのじゃない…」



朔弥の慰めで止まったはずの涙が、またこぼれてきた


先輩がどうして今ここにいるのか、全く理解できなくて

逢えた嬉しさはあるけれど、10日ほど前の出来事を思い出して、あたしは先輩から目をそらした