「俺、稚早が好きなんだ」
授業の始まりのチャイムがなっているにもかかわらず、この言葉はあたしの耳にはっきりと届いた
「…『好きな人ができたから別れて』って言ったのは朔弥じゃん」
「そうだけど、やっぱり俺は稚早が好きだって思って」
…朔弥はいつもそう
だからあたしは、朔弥のこと好きじゃなくても付き合えたんだけど…
すごく軽く、いとも簡単に朔弥はあたしに「好き」と言う
でも、それは本当に欲しい「好き」の言葉じゃなくて
本当に聞きたい声でもない
「っ…言わないで」
見込みがないからこそ、「好き」と言ってしまったことを後悔してるのに
突然泣き出したあたしを見て、朔弥は困った表情をした
当たり前だよね
意味もわからないまま、あたしが泣き出したんだから

