「…大丈夫?」
あたしが何も言わないから、女の人はあたしの顔を覗きこんできた
間近で見るとすごくキレイ
優しいし…さすが先輩見る目あるね、なんて思ってしまう
「…大丈夫です」
「よかった…って、ケガしてる!」
突然慌てた女の人の目線の先はあたしの膝だった
よく見ると、小さな傷
…あたしも気付かなかった
痛くないんだもん
「これくらい平気です」
「でもっ…消毒しなきゃ…本当にごめんなさい!」
「血もそんなに出てないし…謝らないで下さい。あたしの方こそすみませんでした」
あたしの言葉を聞いて安心したように笑って、女の人は行ってしまった
…どうしてあたしのシナリオ通りに進まないんだろうか
誰か、あたしを助けてよ