先輩の彼女



あたしはそこから動けずにいた


『…俺は彼氏じゃない』

今まで、聞いたことのない先輩の声

怖かった


…先輩はあたしが嫌い?

じゃあどうして「嫌」って言わないの?


突き放すこともしないまま

あたしは…先輩に近いようで本当は、少しも近付けていないんだ


…そう思うと悲しくて

冷たいものがあたしの頬を流れた