陽射しがやっと少しだけ穏やかになって



衣替えのシーズンを迎えると



すぐに中間テストがやってくる。








その前にあたしの中で



小さな変化が生まれた。











あたしはずっと髪の毛を



ポニーテールにしていた。








特にそうしたかったわけじゃない。











いつもママに言われたら



ママが行ってる美容室に行って



ママに言われたとおりに髪を切って



あとは無造作に後ろで束ねてただけ。









でもちょっとだけ



風が涼しくなってきた頃



あたしの心の中に



髪型を変えてみたい欲求が



生まれて初めて



わいてきたのだった。











あたしは学校から帰って



西日の射し込む自分の部屋で



鏡の前に座って



髪を束ねている



黒いゴムを外してみた。








ママに似て天然でも



かなり茶色いあたしの髪は



あっという間にばらけて広がった。










それからあたしは



鏡に映っているその少女を



まじまじと眺めた。








そこには



あたしの知らない女の子がいた。








「あなた・・・ほんとにあたし?」








鏡の前でつぶやいてみる。








首をかしげてみる。








当たり前だけど



鏡の中の女の子も



同じ動作をした。