この年の夏は
九月に入っても
変らぬ暑さが継続していた。
まるで当然のことのように
真夏日が続いていて
容赦ない紫外線を
あたしたちに
浴びせかけていた。
そのせいかセミの声は
こんな時期なのに
つくつくぼうしや
かなかなではなく
いまだにミンミンとやかましい。
やかましいと言えば
小塚も相変わらず
何が楽しくてそうしてるのか
あたしのそばによってきて
あれやこれやと
話しかけてくるのだった。
「なあ、マミ。お前最近なんか機嫌ええよなぁ?」
昼休みの誰も来ない屋上で
給水タンクの陰で腰をおろして
ぼんやりと空を見上げてると
そんなどうでもいい話題を
ふってくる小塚。
「そう?別にかわんないけど?」
そう言いながらも
あたしの口調は
明るく響いているだろうと
自分で思った。