「先生・・・」
あたしたちは何も言わず
しばらくその場に
並んですわり込んでいた。
相変わらず
セミたちは
うるさいほど
鳴き続けてたけど
さっきほどは
気にならなかった。
とてもおだやかな時間が
あたしとリュウイチ先生の間に
流れていた。
やがて遠くの方から
がやがやと声がしてきた。
レクリエーションが終わって
みんなが戻ってくるようだった。
「じゃあ、席に戻ろうか」
「はい」
そうしてあたしたちは
ずっと勉強してたかのように
戻ってきたみんなを迎えた。
先生との時間は
なんとなく二人だけの秘密のような気がして
あたしはちょっと嬉しかった。