「もう・・・大丈夫だよ」
とっても優しい声で
リュウイチ先生が
そう言う。
あたしは、はっとして
先生の背中から離れる。
「あの・・・ごめんなさい、先生」
「僕は全然かまわないよ。それよりどうしてレクリエーションに参加しなかったの?」
リュウイチ先生が
あたしに向き直って
両肩に手を置いて
聞いてきた。
あたしは
ママから言われていたことを
そのまま言葉にした。
先生は窓際にしゃがみこんだまま
あたしの言うことを
じっと黙って聞いている。
時折吹き込むそよ風にのって
先生の匂いが
あたしのほうに流れてくる。
なぜだかわからないけど
先生の匂いは
あたしを泣きそうにさせる。
あたしは涙をこらえながら
話を終えて
うつむいていた。
「そっか・・・。なんで坂下さんは参加しないのかずっと気になってたけど、そういうことだったんだね・・・」
リュウイチ先生は
静かにつぶやいた。


