「誰っ?誰かいるの?」
かなり大きな声で
あたしはそう言ってみた。
物音のしたほうは
草木があるということ以外
真暗で何も見えない。
あたしは少しだけ
レクリエーションに参加しなかったことを
後悔し始める。
こんなときなら
あのうるさい小塚だって
いてくれれば少しは
役立つかもしれないのに。
あたしはこの部屋から続いている
長い廊下の向こうの方を見る。
けど誰の姿も見えない。
みんなまだ
キャンプファイヤーだか
ゲームだかを
楽しんでいる
最中なのだろう。
ガサッ ガサガサガサ ガサッ
今度はもう
疑いようもない音だった。
間違いなくあの草陰に
何かがいる。
「誰っ?なんのつもりなのっ?」
あたしは精一杯の
声を張り上げた。


