真光塾の合宿は
民宿みたいなとこを
借り切って
行われる。
毎年同じとこらしい。
まだ朝の八時だというのに
汗がにじんでくる。
少しすると
バスがやってきて
他の子たちは
楽しげに
乗り込んでいく。
あたしは列の最後尾に並んで
順番を待つ。
当たり前のように
小塚が隣にいる。
塾の子たちとは
ときどき
どうでもいいことを
話したりするけど
結局学校の子たちと
同じつきあいを
しているあたし。
家にも学校にも
そしてここにも
あたしの居場所なんて
ない。
「あそこ二人分空いてるやん。座ろうぜ」
小塚が言うままに
腰をおろした。
前から二番目の
二人がけの
シートだ。
しばらくすると
リュウイチ先生が
バスに乗り込んできた。
他に空いてる席がなかったから
あたしたちのすぐ前の席に
座った。


