「おい、マミ。何してるんねん。早く質問終わらせて帰ろうや」
相変わらず空気を読めない
小塚がうるさい。
あたしはしょうがなく
席を立って
リュウイチ先生に
近づいていく。
「リュウイチ先生
さっきの問題なんですけど・・・」
あたしはもう一度
先生を名前で呼ぶ。
リュウイチ先生は
座ったまま
あたしを見上げる。
ふっ
と先生から
さわやかな
香りがただよう。
パパやおじさん達とは違う
もちろん小塚のような
男の子たちとも違う
あたしの知らない
男の人の
香りだった。
静まっていた
あたしの心臓が
また少しだけ
脈を打つ。


