『なあなあ、マミ。お前、塾の夏期講習受けるん?』



いつからか小塚はあたしのことを



下の名前で呼び捨てするようになっていた。






最初はカチンときたけど



そのことを本人に言ったら



『ああ、そうか。じゃあ俺のことも裕也って呼び捨てでええで』



って、あっけらかんと言われたので



もう何も言う気はおこらなくなった。





『うーん、たぶん行くと思う』



あたしの小塚に対する言葉は



いつもたいてい最小限のことばかりだ。





別にわざと冷たくする気もないけど




特別に親しくするつもりもなかった。






それなのに小塚は



何が楽しいのか



事あるごとに



いろいろと話しかけてくる。






『そっか・・・。じゃあ、俺も行こうかなあ』






今週の金曜で学校は終わって



夏期講習の申し込みも



今週いっぱいだった。