「ダメ、か?瑞希?」
「……高史」
「いきなり瑞希と仲良くなってるんだもんなぁ。結は。俺が先に仲良くなるつもりだったのに」
ぱちり、とウィンクをした高史に俺は何か温かいものを感じた。
昔からいい奴なのだ。本当に。
自分の事も話す時が来たのかもしれない……
「……馬鹿、だな」
「ん?瑞希?」
「わかった、よ。行く……ううん、僕も、行かせて。」
ふわ、と笑った瑞希。
「高藤……」
強ばった笑顔だったけれど、今の彼等には十分すぎるモノだった。
「ただいま……」
かちゃり、と鍵を開け誰もいない家への扉を開ける。
誰も イナイ ……
「母さん、は仕事……」
独り言のようにつぶやき、僕は自室へと赴く。
そして、机の右端においてある写真を手に取った。
「父さん、僕、今度、……友達、と遊ぶんだ」
嬉しかった。こんな僕を誘ってくれた高藤が。自分からは決して言えない、この性格がいやになる……だけど、
「結、のおかげ、だ」
ほんの些細なことだった。たったそれだけで、僕は救われた。
