空を見た日。










「瑞希!」
「何?」


放課後、俺は帰ろうとした瑞希を呼び止めた。

実は何げにコイツは頭がいい。


「勉強会、やるんだけどさー」
「そう?ご勝手に」
「お、おい!ちょっ、待てって!!」
「……痛い」


ぐい、と腕を掴めば瑞希からは小さく非難の声。


「まだ、ダメ、か?」
「……わかってるだろう。僕は元々こうなんだ」


瑞希にはちょっとした病気、と呼ぶにはおおげさだけど、抱えているモノがある。
だから、最初は俺にも回りとにたような対応だったのだが……それでは、だめなのだ。いつまでも、そうでいては…


「高史もけー君も永岡も、みんな良い奴だぞ?……俺には劣るけど、な」
「……っ、ご、め!」


冗談っぽく言っても返ってきたのは肯定でなく…

仕方ないかな、そう考えていたとき……


「俺は大歓迎だぜ?みーずき!」
「……っ?!」
「た、かし?」


不意に聞こえた声に振り向けば、そこにはにんまりと笑む高史の姿。
一歩ずつ、ゆっくりと近づいてきた高史は瑞希の顔を覗き込んだ。