ふっ、と黙り込んだ瑞希に俺は首を傾げた。
何なんだ、いきなり……
「瑞希……」
「食い意地のはっている馬鹿だな」
笑った顔が太陽に透けてとても、とても、眩しかった。
「結、」
「……何だよ、高史」
「……ごめんって!あんさ、テスト勉強会、しないか?永岡がみんながいるならって言ってさ」
「まぁ、俺も教わりたいし?」と高史は続けて、はにかんだ。
にゃろう、全く反省してねーな。人を悪みたいに言っておきながら。
「………」
「ゆーいちゃん☆学校の角のパン屋の限定アップルパイでどうかなぁ?」
限定、アップルパイ…?あの、一日30個しか作られないで30分もしない内になくなるとか言われている……?
まさに、伝説的、な……
「なんと、たった1個だけ手に入れマシタ」
「……っう」
「甘いものが大好きな結ちゃんがきっと拗ねていると思って俺の友人の伝手を使って手に入れた代物デス」
「うぅ…」
こいつ、大嫌いだーっ!
片目を閉じ、にんまりと笑う高史に俺は悔しくなってきっ、と睨んだ。
