「三井さん……やめて……。」





やめてって………まだなんにもしてないけど。





「そんなに見ないで…。恥ずかしくなる。」


「えっ、ごめん。そんなつもりはなかったんだけど。」





どうやら俺は、葛城さんを見つめていたらしい。





頬がほんのり赤く染まってるのは…勘違いじゃないよな?





コインパーキングに車を止めて、居酒屋まで少し歩く。





気の効いた話でも出来ればいいんだけど…話題がない。





たぶん話なんて出来ないんだ。





こんな近くに葛城さんがいる。





ちょっと手を動かせば捕まえられる距離。





もどかしい…焦れったい…。





「ありさ?」





声と共に葛城さんの体がピタリと止まった。





「ショウ…。」





数メートル先にいるショウと呼ばれた男。





「ハッ…携帯に出ないと思ったらそういう事か。自分の事は棚に上げて俺に浮気、浮気って…お前も浮気してたんだな。」


「なっ…!違うっ!」


「何が違うんだよ。まぁ、もういいけど。浮気の一つや二つで怒る女なんてこっちから願い下げだ。」