「ごめんなさい。」


「ど、どうしたんだ?」





社長専用の椅子にドカッと構えるお父さんが突然の事に戸惑っている。





その横に並ぶ幸くんは冷静に私を見ている。





「私、我が儘だったの。自分を過信し過ぎていたみたい。」


「ありさ?」


「大人ごっこは止めます。あと1ヶ月は雇ってね?」


「いきなりどうしたんだ?」


「会社というものを甘くみてたの。お父さんを手伝いたいって言ったけど、本当は自分の力を試したいだけだったのかも。いきなりでごめんね。」


「ありさは頑張ってるぞ?」


「全然よ。まだまだ勉強不足なの。4月からはお爺ちゃんのところに行くわ。」


「もう決めたのか?」


「うん。」


「わかった。親父には連絡しておく。決算で忙しいがあと1ヶ月頑張るように。」


「はい、残り1ヶ月よろしくお願いします。」





一礼して、幸くんと一緒に社長室を出た。





「思いきったな。」


「うん。」


「ははっ、まぁ頑張れよ。」





頷けば、ポンポンと頭を撫でてくれた。





無責任なのは重々承知、いつまでも偽っていられないし、私じゃ戦力にならないの。