「社内恋愛でもしてみれば?」


「支離滅裂ね。」


「お見合いの相手はどうせ天宮に勤める社員なんでしょ?わかりきってるんだから、社内の優秀でイケメンを捕まえればいいじゃない。」


「あのね、彼氏探しに行ってるんじゃないの。お父さんを手伝いたいから歳誤魔化して行ってるの。」


「じゃあ、本社の人間はダメだね。」


「どうしてよ。」


「だって、詐称してるじゃない。社内の人間と付き合えたとして本当の事話したらどうなるの?本当は天宮財閥の娘、しかも長女。それに23歳じゃなくて実は18歳。受け入れて貰えるの?」





私はひなのの方が詐称してるんじゃないかと思ってしまう。





6歳も下なのに、大人顔負けの説得力。





「長女と言う事は、婿養子に入れば後継ぎの確率が一番高くなる。地位や財産に眩んで受け入れてくれるか、住む世界の違いを目の当たりにして拒否されるかのどっちかじゃないの?」





ひなのの言う事が想像出来て、ズキズキと胸が痛むと同じに苛つきが増す。





「わかってるって言いたいかもしれないけど、懲りずに同じ事を繰り返してるから言ってるんだからね。」