「彼氏となんかあった?」





貴久くんが2人にカクテルを差し出しながら聞く。





「決定的証拠を見た。」


「で?」


「急所潰して来た。」





俺はさっき見たから驚く事なかったけど、陽介はバッと横を向き葛城さんを凝視した。





貴久くんは苦笑し、チカさんは深いため息を吐く。





「お前さ、どれだけ痛いかわかってんの?」


「わかるわけないじゃない。」


「可哀想だな。」


「なにがよ!可哀想なのは私でしょ?」


「潰さなくてもいいだろうが…。」

「私はそれほど心に傷を負ってんのよ?そのぐらい当然よ。」


「今度はなにがあったわけ?」


「女と体を寄せ合いながらホテルから出て来たわ。蹴った後なんて言ったと思う?」


「母親?」


「だったら笑うわよ。妹って言ったのよ?妹でも笑ったけど。」


「「あはははははっ!」」





貴久くんとチカさんが声を揃えて笑った。





陽介も肩を震わせて笑う。





俺は笑ってもいいのか戸惑っていた。





「…っはぁー!最高のバカだな。」

「前はTバッグだったよね。」


「Tバッグ?それ知らねぇ。何?」