「まず、寒いのに屋上行く意味が分からない」
「いや、まだ寒くねぇだろ」


けらけら笑う武瑠にぶすっと不機嫌な態度をとった。馬鹿にされた気分だ。毎朝マフラーに手袋と厳重装備で登校してきているのにまだ寒くないと武瑠は言い切ったのだ。きっと身体の中は暖房に間違いない。北海道人は皆暖房を身体の中に持ってるのだ。じゃないとあの極寒を耐えられるはずがない。自分なら外に出ることさえ敵わないだろうに、彼らは雪掻きをするのだから。


「でもこっちは独特な寒さがあるよなぁ。室内は外より寒い気がするし」
「知らないし、興味もない。てか、第一に私に関わらないで」


同情など御免だ、ときつく睨み付けてやると怯むどころかくくくっとどこか可笑しそうに笑う。ああ!もう!本当に不愉快だ。馴れ合いなど世界で一番要らない。女子の集団行動に外れものは付き物なのだ。それを自主的に請け負っているようなものなのだから同情など気持ち悪いものでしかないというのに!

感情の高ぶった自分に気付き直ぐ様深く息を吸う。ペースを乱すな、自分。


「あ、千明ぃー」