悪戯っ子のようにクスクス笑う私達は小さい頃、小学生に戻ったみたいに戯れあう。驚くぐらい笑って、少し汗ばんで来た頃に授業を終えるチャイムが鳴った。


「時間経つのって、意外に早ぇーな」
「はー、熱い」
「俺も。汗かいちゃった」


ふふ、と笑うとキスが出来そうな程蒼衣が近付いて来、私は臆病にもびくりと震えた。あと、5センチ、あと、3センチ。


「あ、あおいっ」


我に反りぱっと離れてしまった蒼衣に少しだけ、名残惜しさを感じる自分に酷く驚いた。なにやら顔を見せないように背を向ける蒼衣の耳は真っ赤に染まっていて変な緊張感が流れる。教室から出てくる生徒達がざわざわと廊下を煩くした。正直今だけ、感謝する。


「帰り、迎えに行くから」
「分かった」
「もう先に帰るなよ」
「早く来ればいいでしょ」


じゃーね、と手をひらひらさせ私は教室に向かって歩いた。初めてだった。蒼衣といて、こんなにぎこちなく感じるなんて。