鎮まれ鎮まれ、と念じればすんなりと平常心を取り戻すことが出来た。昔から自分をコントロールするのが得意なのだ。だから冷たい人なんて言われてたのかもしれない。蒼衣はそんなこと無いって言うけれどそれはきっと蒼衣の前だからに違いないと私は思う。
「うー、寒ぃ」
「寒がりだね、蒼衣は」
「これが普通だって」
さあ中に入ろ入ろ、と腕を引っ張られ扉の中へと押し込まれる。冷たくなった蒼衣の指先が制服を通してひんやりと腕を冷やした。
「手、冷たいよ」
「あ、ごめんごめん」
ぱっと離された手に少し寂しさを感じながらもさっきまで触れられていた部分を擦る。冷たいのは嘘じゃなかったのだ。
授業中で誰もいなく静寂が保たれてるはずの階段を二人の足音がリズムよく鳴る。雰囲気を壊してることに少しだけ優越感を感じれた。
「自販機でジュース買おうぜ」
「蒼衣の奢りなら」
勿論、と自販機の前までくるとチェーンに繋がれた財布をポケットから出して硬貨を数枚出すとちゃりんちゃりんと自販機に入れていった。
「千明はオレンジっと。俺はカルピスだな」
「どうも」
冷たい紙パックを受け取りストローを袋から出し紙パックに刺した。心地よい音が鼓膜を震わせストローに口をつける。
「本当、幸せそうに飲むなー千明は」
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