「どうしたのですか?怜様。」



先頭を歩く、自分達の主がふと足を止めた。

不思議に思い歩み寄り尋ねて見たところ…



「ん?何かね、人が倒れてるんだよ。」



思いもよらぬ返答に困る、
余りにも楽しそうに呟く姿に思わず背中が震えた。



「何故そのように笑っていられるのですか…」



まぁ、いつもの事だと思い軽く溜め息をつく。


しかしその目線の先に目を向けた途端、

思わず言葉を失ってしまった。



「ね?面白いでしょ。」


まだ口元に薄ら笑みを浮かべている。



「何ですか…これは…」



今にも震えてしまいそうな手足にぐっと力を込めた。


「怜様、先を急ぎましょう。こんなのに構ってるお時間は貴方には無いんです。」


「…逆らうの?」



ちらりとそれを横目で見て、また視線を戻した。

すると怜様はにっこり笑いながら、

脅迫染みた言葉を呟いた。


「…死にそうな人間を置いていくの?酷い人間なんだね、君は。」



そう言われて言葉に詰まった。



「…っしかし!!」



カチャリと音が聞こえた、

次の瞬間には首元に短刀が添えられていた。



「…死にたい?」


「…っ」



ぐっと息を呑んだ。

もう反論さえも許されないだろう。



「…もう一度言ってあげる、君は死にたいの?」



そんな雰囲気に呑まれて、
諦めて口を閉じた。