桔梗の場合。

ほら、ね?

迷いなく、その3種類をカゴに入れる。

グリーンティが2つ入っているのは、お兄ちゃんも好きだから。

ま、だからあたしも好きになったんだけど。

だけど、一つ。

お兄ちゃんに教えてない味がある。

「んー、後は……。
これ、でいいのか?」

「…え?」

そう言ってお兄ちゃんが手にしたのは、ラムレーズン。

「ど、どうして?」

「え?だって桔梗よくお菓子にラム酒入れるし。
ラムレーズンのチョコ好きだろ?
だから、まぁなんとなくだけど。
嫌いだった?」

その問い掛けにあたしは勢い良く首を左右に振る。

「ううん、ううんっ。
すごく、好き、だよ…。」

最後の方は、すごく小さな声になってしまった。

だって、だって。

「ありが、とう。」

「どういたしまして。」

すごく嬉しかった。

ちゃんと、わかっててくれてるんだ。

言わなくても伝わってるって、思っていいんだよね?

お兄ちゃん。