「ストップ!!
桔梗、そこは『ファ』!
もっと息吸ってお腹から声出して!!」

「はい!!」

お兄ちゃんは言った通りスパルタだった。

細かなミスも許さない。

「あー、あーーあ、あーーーーーー!」

「もっと口開けて!!
はっきりと音を出す!!」

「はい!!」

厳しいけど、お兄ちゃんとなら……。

なんて考えは消えた。

練習前、後と練習中のお兄ちゃんは別人のようだった。

「じゃあ10分休憩。
ちゃんと水分取るように。」

「はーい。」

すごく厳しい。

だけどやりがいはすごくある。

褒めてもらうと嬉しいし、声出し以外にも筋トレもある。

それさえも付き合ってくれるお兄ちゃんには感謝してる。

ック、ック、ック。

「ふぁー。水ってこんな美味しかったけ?
練習中の水はいつも以上に美味しいなぁ。」

「ぷっ。」

ん?『ぷっ。』?