桔梗の場合。

「えっと、仕事自体はあまり影響はない、です。
でも、仕事で夜遅くなったときに、実家に帰る術がないんです。
今までは電車でなんとかなりました。
でも最近はモデル以外のお仕事が増えて、決まった時間に帰れないんです。
あたしが通う大学には寮もなくて。
それで、大学からも仕事場からも近いこのお家に居候させてほしいんです。」

「一応芸能人だから、ファンがいないわけではない。
まだ若いし、一人暮らしは心配なんだ。」

「……わかった。」

「え?」

「その代わり条件がある。」

「はい。」

どんな条件でも飲みたい。

お世話になる人なのだから。

「先ず一つ。22時を過ぎる場合は連絡を入れる事。
そのときは使いのものを出す。
無断外泊は禁止。
仕事と勉学の両立の継続。
そして兄さんにも。」

「な、なんだ?」

「桔梗ちゃんが此の家に住んでいる間は私もこの子を実の娘のように思うことを許す。」

「あぁ、もちろんだ。」

「桔梗ちゃん、どうだ?
条件を飲めるか?」

「はい!お世話になります。」