桔梗の場合。

おじ様、少し険しい顔。

兄と姪がいきなり押しかけて来たら、何かしら反応を示さない方がおかしい。

「周五朗。実はお前に頼みがある。
この、桔梗の事で。」

「頼み?兄さんが私に頼み事なんて珍しい。
もしかして初めてじゃないですか?
それで?桔梗ちゃんがどうしたんです?」

「この子がモデルをやっているのは知っているか?」

一瞬ぽかんとした後、元の威厳のあるおじ様の顔に戻った。

「もちろん。可愛い姪の事ですからね。それが何か?」

「それでな……。」

「おじ様、あたしを此処に置いて下さい。」

「は?」

「桔梗。それは私が……。」

「お父さん、あたしの事です。
あたしがお願いしないと、それは理に適ってない。

おじ様、あたしをこの家に居候させて下さい。」

「……………。」

だめ、なのかな。

いくら姪でも、他人って言えば他人。

他人が自分の家に住むのを、快く思う人なんてそういない。

「桔梗ちゃんが住むのはいいが、なんでまた?
実家からでは仕事に影響が出るのかい?」