「うわ〜・・・降ってきてるじゃねーか」

放課後学校を出ようとしたら、ぽつぽつ雨が降ってきていた。

靴を履き替えて学校をでようとしたとき・・・前に走っていく女の子が見えた。

あ、茜ちゃんだ。

「茜ちゃん!」

呼んだが気が付かず・・・・ちぇっ。

後を追うしかないか・・・。

俺も慌てて走り出した。


・・・・速えぇ。

・・・追いつけねーぞ・・・。

さすが元陸上部だな。

なんて感心している場合じゃない。

雲行きが恐ろしく怪しい。

俺は急いで茜ちゃんに追いついた。

「茜ちゃん!」

腕を掴むと驚いたように俺を見る。

「日向・・せん・・・」

「こっち」

確かめる声をさえぎって、建物のところへ引っ張った。


そこは、使われていない倉庫のような建物の中だった。

入った瞬間、バシャバシャ!と土砂降りになる。

「うわっ、あぶね」

そう言って茜ちゃんのほうを振り返り

「大丈夫だった?」

と、笑顔で聞いた。

追いついてよかった。

「あ、はい。ありがとうございます。大丈夫でした」

笑顔で答えてくれる茜ちゃん。

・・・可愛いぞ。

「そう、良かった」

普通にしてるつもりだが・・・内心ドキドキだ。