俺は電車を降りると、茜ちゃんと過ごしている空き地へ向かった。

・・・いつの間にこんなに心の中に入ってきていたのだろう・・・。

心の大部分を茜ちゃんが占めいていることに、自分でもビックリしている。


初めは面白い子だなって・・・それだけだったのに。

彼女はいつも笑顔で俺の隣にいてくれた・・・そう、どんなときも。

落ち込んだとき、嫌なことがあったとき、俺の心を癒してくれたのは彼女の笑顔だ。


ヤバイ・・・相当好きになってる。

彼女はこんな俺のことをどう思うだろう・・・。

「早苗がさ・・・・早苗がな・・・」

会えば早苗のことばかり話していた俺が、彼女に気持ちを伝えて・・・受け入れてもらえるのか?

それとも嫌な顔をされて・・・もうこんな関係にも戻れなくなるのかもしれない・・・告白はしないでおくべくなのか?

彼女には好きな人がいる・・・・それを分かってて・・キスしたんだ・・・俺、最低だ。


空き地に着くと、町を見下ろせる場所まで進んだ。


自分のことしか考えていない自分に嫌気がさす。

隆平みたいにはっきり出来る性格だったら良かったのにな・・・・優柔不断・・・・。

俺・・・・こんな情けない奴だったかな。



少しの間、町並みを眺めていた。

・・・もしかしたら、ここに来るのも最後になるかもしれない・・・。

そう思ったとき、

「日向先輩」

聞き覚えのある声がして、振り返ると

「茜ちゃん」

俺の好きな彼女が微笑んで立っていた。