(さっき吉井君にあやふやにされてしまった“ヒ・ミ・ツ”を教えてくれるのかな!?)






安部君が手を添えながら私に耳打ちする。







『あのね……

あいつはじつはねぇ…


“ブラコン”

なんだ!!!!!!ハハハ。』






《ガタ…ガタン!!!》



教室じゅうに響きわたる木製音






『安部ーーーーー!!
おまえ近すぎだろ!?
離れろ!!』





対角線上いちばん遠くの席から聞こえる怒声。






『王子様はやきもちやっきぃぃぃ〜♪

ふられろぉぉぉ!!!ハハハ』





「おー!吉井やるぅ」
「ヒュー、ヒュー」
「きゃー!」





クラスがざわつき始める。





なんだか積極的になってる吉井君……
もう何がなんだかわけがわからない!!

“穴があったら入りたい”
本気でそう思った。





《ガラガラ!》

『おまえら、うるさいぞ!』






見回りの先生が入ってきて平静をとりもどした教室。




(たすかった……)