ふわっと誰かに肩を抱き寄せられた。
けいちゃんだ!!!
もしけいちゃんがこの場にいなければ、私は逃げ出してしまっていたかもしれない。
けいちゃんに視線をやると、〈ウン〉とうなずくけいちゃん。
私は意をけっして顔をあげた。
『いや、俺の片思い』
吉井君と目が合う。
『しゅんーーー!!それ告ってんのとおなじだぞぉぉぉ』
『もう告った!』
ニッと口角をあげて笑う吉井君………
クリックリッの目がさがって笑いシワができている。
見るものすべてを吸いこんでしまいそうなその笑顔は、まさしく王子様の笑顔だった。
周りからは
「キャー!」とか「うっそ、まじかよー」とか「なんでー?」とか、いろんな声が聞こえてきた。
泣いて教室からとび出して行っちゃった子も見えた。
やっぱり吉井君はみんなの王子様だったんだ……
改めて実感する。

