***吉井君side***

『ありがとう。わかったわ。ちょっと貧血があったのじゃないかしら?
今は眠っているだけだから安心してね。』




その言葉を聞いて安心した。



愛音ちゃんに声をかけようと目線をやると、小さな手をいっぱいいっぱい広げて顔を覆い泣いている。




小柄な彼女が更に小さくみえ、そのか弱さから抱き締めたくなった。




こんな時に不謹慎だが、2人だけになりたい!
そう思うと、俺はいてもたってもいられなくて




「じゃ、俺ら教室戻ります。花戸の事よろしくお願いします。」




と少し早口で言った。



その場で立ち尽くしている愛音ちゃんの肩に背後から手をやると、小刻みに震えている。




肩を押しながらドアに向かっていると、後ろからつい抱き締めそうになった。




しかしなんとかその気持ちを抑えて保健室を後にする。




保健室のドアを閉めると、俺は無意識のうちに彼女の手を握っていた。




力を入れてしまえば潰れてしまうんじゃないかというくらい、細くしなやかで小さな手。




正直ドキドキした。




2人きりになれる場所で一番始めに思い浮かんだ場所。よし、屋上に行こう!