ヒュッと風を切ったような音がしたと思ったら、 吉井君が古びた机に飛び乗って仁王立ちした。 『くっそぉ―――――! こんのヤロー――――!! バカヤロォ――――――!!!』 大空に向かって狂乱したかのように雄叫びをあげる。 いきなり豹変してしまった王子様を呆然と見つめる私。 豹変した王子様は机の上に腰かけると 『頼むから泣かないで!? 危うく抱きしめそうになるじゃん!!』 そう言って眉を下げ、憂いに満ちた表情を向ける。 私はイマイチ状況をのみ込めないままで<コクン>とゆっくり頷いた。