吉井君は保健室のドアを閉めると 泣いている私の手を握り、 もと来た道とは反対に歩き出した。 握られている右手から温もりが伝わってきて 私の胸をもっと熱くする。 静かな廊下で私の嗚咽だけが響いていた。 吉井君はただ黙って、自分の力では前に進む事すらできない私を力強く引いてくれた。