昨日までの三者面談日程は終わり、今日から普段の時間割に戻る。





(ふぁ〜)大きなあくびを一つ




昨日は爆睡したハズなのにまだ寝たりない。




下駄箱で靴を履き替えると、右手にある階段を登り教室を目指す。




これは二年間毎日繰り返してきた日常のこと。





ボーッとした頭でいると、昨日の事は夢だったのかな?


とさえ思えてくる。





教室のドアを開けようと手をかけたとき―――





『おはよう』




聞き覚えのある声が聞こえて後ろを振り返ると





ふんわりと前髪を垂らした吉井君が


私を数十センチ上から見下ろしていた。





「おっ、おはよー」




『ククク。いま、目が泳いでたよ。ハハ。』



そう言って笑う吉井君に

急に現実に引き戻され、昨日の事が夢ではなかったと知らされる。




「だって……昨日までの私たちはこんな挨拶ですら交わさなかったじゃん。
急にこんな…慣れないよ!」