『あっ!?そんな顔しないで…ごめん! 調子に乗りすぎた。ハァ、ダメだなぁ俺…』 吉井君はそう言うと、ふんわりした黒髪をクシャと掴んだ。 「いや…私も生徒手帳拾っておいてもらいながら…ごめん…」 ―――静寂が訪れる――― 窓からは陽光が入ってこず、おひさまはだいぶ傾いたようだ。 チラリと吉井君を盗み見ると、頭をかきながら窓の外を見ている。 (気まずい…) 奥まった場所にある資料室には 外の雑音は一切聞こえてこない。 静寂を破ったのは…